これは、去る2000年2月19日に持たれた「バリアフリー部会」中間報告の資料です。

枚方LRT研究会・バリアフリー部会中間発表

渡邉源喜

目次
I  交通制約者とは
II 市民を取り巻く4つのバリア
III インタビューについて
  1.日時、対象、実施方法および内容

  2.インタビューにおける発言内容
IV バリアフリー部会の今後の課題について
高齢者グループインタビュー報告書
子育てグループインタビュー報告書
参考「介護人の同伴不要、運輸省が通達改正」

I 交通制約者とは

(1)移動の制約に関わる3つの言葉

○移動制約者(the Mobility-handicapped )

 広義に捉えると、障害者や高齢者の他に、交通費の負担が困難な低所得者や、公共交通機関が皆無または不便な地域に住み、しかもマイカーを利用できない人々を指す。また、妊産婦、幼児を連れた人、重い荷物を持っている人を含める場合がある。

 なお、"the Mobility-handicapped"という用語は、現在ヨーロッパ諸国を中心に普及しつつある。

○交通制約者

 移動制約について、特に「交通機関の利用」という視点から見て制約を受けている人々のこと。

 LRT研究会においてバリアフリーについて検討する際には、障害者、高齢者、難病患者、

 妊産婦、幼児を連れた人等を対象として、この概念を用いるのが適当か。

○「交通弱者」(the Transportation Poor)

 〔松尾・中村1996〕によると、この言葉は1965年のロスアンゼルスのワッチ地区で発生した黒人暴動が契機となってうまれたという。同暴動の原因を調査したマッコーン委員会は、公共交通機関の貧弱さと低所得によるマイカーの保有困難が都心部への通勤のバリアとなって人々の就労機会を奪っている現状、すなわち通勤交通の問題をその最大の原因として挙げた。そして、このような低所得者層の移動性の問題を表現する言葉として、「交通弱者」という言葉がうまれてきた。

 後に、身体的理由や制度的な理由(運転免許の年齢要件など)によって移動が制約されている人々に対しても適用される概念となったが、アメリカではすでに全く使われなくなっている。

(2)交通制約に関わる重要な視点

 交通制約者とは、単に「身体的な理由等によって交通機関の利用が制約されている人」ではない。仮に、交通環境が身体機能等の低下や障害をカバーするように形成されていれば、移動や交通機関利用の際の困難は軽減され、交通制約者問題も大きくは発生しないからである。


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