自動車関連業界もLRT・公共交通機関に積極的な姿勢

 LRTに使われる車両としてLRV、ライト・レール・ビークルという言葉が使われます。100%低床式、半低床式、部分低床式などがあります。乗降部は低床であって車内はステップがあって高床になっているものがあります。ドイツのボッフム・ゲルゼンキルヘンのLRTはステップでなくて低床部と高床部をスロープでつないでいるようです。

 熊本の市電は先ほどもありましたように超低床式を売り物にしていますが、客室の底面の高さは36p、乗降口の高さは30pですから少し登っているのでしょうか。プラットホームと乗降口の差は12pになっているといわれています。

 この車両はどこで作られたかといいますと、ドイツのABBダイムラー・ベンツです。先ほど私は自動車と公共交通機関は何か対立関係のようなことを申しましたが、皆さんもドイツの有名な自動車メーカーですBMWのミュンヘンの博物館にお出でになったら一番上の階をご覧下さい。そこではミュンヘンの公共交通機関をどのように活発にしていくか、車の使用を減らして公共交通機関に乗り換えてもらうかを自動車メーカーであるBMWがひとつの理念として打ち出しているのかが見て取れます。ダイムラー・ベンツも超低床式の車体を作っているのです。

 自動車メーカーが非常に積極的にこのような働きかけを行っていることは日本人には不思議に思えるかも知れません。

 日本の日本自動車連盟JAFに当たりますドイツ自動車クラブADACでは、幼稚園から小学校・中学校・高等学校にあたる児童・生徒用の交通教育の素晴らしい教科書を作っていますが、その中では個人的な私的な交通機関と公共交通機関の区分、自動車のように少人数しか乗れない個的な交通機関とバスや電車のような大量交通機関の区別を認識させ、どのような状態では私的・個的な自動車を避けて公共・大量交通機関を利用しなければならないかを鮮明に認識させるために教科書に盛り込んでいます。

 また、環境問題についても熱心に取り扱っていまして、車がもたらす大気汚染、騒音などの問題についても中学生年代になったら勉強するようになっています。子どもの頃から環境問題について非常に熱心に教え、大人になってからの環境問題に関してのベースになる基盤を作っているのです。今や新しい視点に転換していかなければならない時代です。私はそれを強く強調したいと思うのです。

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