5.自動車からLRTへの転換、P&R・B&Rについて

LRTを基幹交通機関あるいは都市の装置として位置付ける。もう1点押さえておきたいことは自動車交通を削減してLRTへ転換するということであります。その時にどういう施策が求められるのか?

  1. 鉄道網との連携
  2. バス網との連携
  3. 自動車との連携
  4. 自転車との連携
  5. 中心市街地との連携

先ず、

1・鉄道網との連携について

路線案として京阪枚方市駅とJR藤阪駅とを結節する。この路線案の発展形態として高槻市側の鉄道網と結節すると言うことが考えられます。そこでの乗換抵抗の軽減・統一運賃制度の採用という施策が挙げられます。

京阪枚方市駅からJR藤阪駅へ結節した際のこの路線案におけるバス輸送人員は1日約30,000人という実績があります。今日のデフレあるいは少子高齢化情況下においては少し減少している事が予想されます。

高槻側から枚方市駅へのバス輸送人員の実績は1日当たり24,000〜25,000人程度であったと思います。両市における路線は、ドル箱路線という位置付けをされております。

従いまして、この両市における鉄道網との連携は、LRT路線案選択の戦略的位置を占めうるものでありましょう。

2・バス網との連携について

重要な点は、LRT路線とバス路線とを競争・競合させないということであります。

英国・シェフィールド市におけるLRTは、バス会社との路線調整に失敗し、バス路線とLRT路線とが平行し競争するという結果になり、最終的にはLRTがバス会社に吸収されたという報告があります。

LRT路線とバス路線とを競合させないためには、バス路線をLRT路線と十字の形態にして交差させるということだと思います。

LRTを基幹交通機関あるいは都市の装置として位置付け最大限活用していくためには、バスからLRTへの乗換を誘導する「乗換抵抗」を軽減するための共通ステーションの建設・運賃の統一化施策が挙げられます。

バスとLRTを乗り換える都度、「初乗り運賃」を要するということであれば、バス路線からLRTへの転換は、なかなか困難といえます。枚方市内においても同じ京阪バスの路線であっても乗り換えると運賃が2倍に跳ね上がると言う矛盾が指摘されております。同じゾーン内であれば、何度乗り換えても運賃は同一という利用者にとって合理的な制度の創設が求められています。この制度は、別名「目的地別運賃制度」ともいわれております。

3・自動車との連携について

LRTと自動車との連携のポイントは、都市中心部における自動車進入禁止エリアの設定とパークアンドライドというシステムの採用でありましょう。自動車交通を削減してLRTに転換するという施策の最大のポイントは、上記の2点でありましょう。自動車交通を削減するという施策は、最も困難な市民の合意形成という重要なプロセツを慎重に経ることが求めらるものでしょう。法的な裏づけを要する重要な施策でありますが、現在日本においては、その法的な裏づけとなる法律はこれから新たな立法を要すると考えております。

LRT建設の最大のバリアは、自動車交通の処理をどうすのかという点でありましょう。枚方市内においては、四車線道路は極めて限定をされておりますので、まず、導入空間が問題点として挙げられます。

自動車交通ありきでは、LRT建設は困難でありましょう。価値観の転換を要するということあるいは公共空間の再配分ということが、提言されております。

パークアンドライドというシステムにかかわる問題点は、駐車場の設置場所・使用料金・乗換抵抗の低減ということをあげることが出来ます。使用料金は、無料あるいはLRT運賃とセットにするというこでしょうか?別途の料金体系にするというここであれば、どうしても割高になるということにはならでしょうか?

4・自転車利用との連携について

パークアンドライドの利用促進という事とLRT車両内への自転車持込を可能とするということが上げられます。

自転車交通については、その位置付けを明確にするということが求められております。

放置自転車対策は、条例制定をも含めてその成果は大きなものと評価する事が出来るものであると考えます。しかし、高齢者からは、歩道上の安全対策を求める声があがっております。

5・中心市街地との連携〜独・フライブルクの事例紹介

フライブルク市においては、LRT利用促進策として様々な事が試みられております。

  1. 自動車よりも速く
  2. 自動車よりも安く
  3. 中心市街地への自動車乗り入れの段階的抑制と中心部における駐車場の削減
  4. LRTダイヤ編成における工夫

という基本方針を設定しています。

フライブルクにおいて注目すべきは、環境定期券制度をあげることが出来ます。家族全員が1枚の切符でLRT・Sバーン(近郊都市鉄道)を利用する事が出来ます。家族揃って外出する際の割引制度として環境定期券が導入されています。日本の制度と比較して頂くと、その制度のメリットが良く理解できるのではないでしょうか?家族全員ご揃って外出際にLRT・公共交通が自動車よりも割高であれば、やむなく自動車が選択されてしまいます。

3.中心市街地への自動車乗り入れの段階的抑制と中心部における駐車場の削減、段階的に自動車進入禁止エリアの面積を拡大しております。

自動車の入って来ない市街地・まちなかの快適さを演出しております。

4・LRTダイヤ編成における工夫

ダイヤ編成上、待ち時間を短縮してLRT利用を促進するため運転間隔が、2〜5分間隔というように細心の配慮がされております。

自動車からLRTへの転換を促進するための原則として次の3点をあげることが出来ます。

1)自動車に対する法的な利用規制・・・価値観の転換・新たな法の制定を要する

中心部への自動車進入禁止・・・ 全く自動車を締め出すということは、不可能であるのでその解決策として「トラフイックセル」方式が提案されています。

中心部における駐車場の削減・・・枚方市駅周辺における駐車場設置台数:約6600台

2)規制の見返りとしての代替手段の用意

具体的には、LRT路線の建設をあげることが出来ます。

3)代替手段の利用促進のための諸々の政策


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