料金体系と料金収受システム

 それから料金体系と料金収受システムという問題は、これは非常に大切なことでありまして、先ほどの岡山のビデオでもありましたように、日本では後ろから乗って、バスの場合ですけれど、後ろから乗って前に行って運転者に料金を払って、定期をもっていてもいちいちそこを通らなければならない。

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写真:オランダ・アムステルダムの路面電車内の様子
撮影:長山氏

 私も枚方公園まで毎日バスを利用しますが、みんながそこで降りるのに運転席のところを通っていきますので、一番後ろに乗っている人はなかなか降りられないのでイライラします。この料金収受システム何とかならないのかと実際毎日思うところです。先ほどのビデオにありましたように、自分で切符を買っておいて、自分の責任において、切符をキャンセラーで鋏を入れる、というヨーロッパで行われている制度が日本でも取り入れられないかと真剣に考えるところとです。そうしますとどの入り口からでも乗り降りが出来て、乗降がスムーズに行われるのです。

 ヨーロッパでは全部その制度が行われているわけでして、料金を払わないで乗ろうとする人は厳しく罰せられます。ハイデルベルクの中心街に路面電車がまだ通っている時代でしたが、二人のアベックの学生が乗っておりました。めったなことで検札にくることはないのですが、たまたまその日にはやってきたのです。二人の顔色が一瞬変わりました。大変な罰金が取られるのでしょう。そのときには学生証が取り上げられて、その処理をするのだろうと思いました。このように無賃乗車をする人間もいることはいるようですが、大半の人は自分の責任において定期券や切符を買い、自分の責任において切符をキャンセラーに入れて乗車の日時を刻印していきます。

 料金体系も実にうまくできていて、どんな乗り物に乗ってもそのエリア内では同じ料金ということです。日本では別の乗り物に乗れば初乗り料金がかかり高くなってしまいます。日本でもかなり以前からヨーロッパのような公共交通連合体のような組織を考えるべき時代だといわれながら、経営主体が違いますのでなかなか実現していません。日本では公共交通機関でありながら料金が割高になってしまっていることは今後考えていかなければならない事柄でしょう。経営主体の問題だけでなく、諸外国では公共交通機関としての乗り物がどのように各都市から補助を受けているかなどについても研究していかなければならないでしょう。

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