2 LRT交通システムの特性と利点とはどのようなものでしょうか

1) ネットワークを形成するLRT

 LRTとは点と点を結ぶ単一の系統の路線ではありません。それ自身ネットワークを形成するものであり、また多様な乗り物とのネットワークを形成するものです。すなわち、LRTとバスが同一停留所を使用するなど乗り換え抵抗がない緊密な連携をとります。さらにパーク・アンド・ライドにより自動車・原付・自転車との相互の有効利用が行われます。それによりまちの隅々まで公共交通機関利用の利便性を高めることが可能となるのです。

2) 中心市街地活性化・魅力あるトランジットモールの形成

 トランジットモールとは「中心街の通りを一般車両の通行を規制した歩行者専用の空間として、路面電車(LRT)、バス等の公共交通機関だけが通行するようにした街路」といえます。そのメリットとしては次のような点があげられます。

  • 歩行者が安全で快適に繁華街を歩き、ショッピングなどを楽しむことができる
  • 休憩や待ち合わせができて、人々が集い、相互に交流できる広い空間である
  • 各種のイベントの開催や祭りなどの活動が可能となる

 諸外国のトランジットモールには人々が溢れ、その人たちの多くは特別の用事があるようには見えないが、トランジットモールには用事がなくとも行きたいと思わせる人をひきつける魅力があります。

 トランジットモールの中に導入されるLRTは、周辺各地からそこへ人を運び込んでくる機能を果たすとともに、またトランジットモール内を移動する人たちの動く歩道の役割をも果たすのです。

 LRTを構想する場合にはトランジットモールを一体として考える必要があります。

写真1・写真2 人と共存するLRTとトランジットモール

3) 輸送の効率化と環境負荷の軽減効果

 市内の移動の中核的公共交通機関としてLRTを考える根拠としては、効率の高いLRTの輸送能力と環境に与える負荷が低いことがあげられます。

 最高運転本数での1時間当たりの輸送人員は、マイカーで1千2百人、バスで2〜3千人、LRTは2両編成で5千人と言われています。LRTでは需要に応じてフレキシブルな編成が可能であり、4両編成では1万人の輸送が可能となります。マイカーの8倍、バスの3〜5倍の輸送力なのです。

 地球環境・地域環境に対する影響を交通手段別にみたデータがありますが、それでみるとマイカーは1人が1km移動する場合排出するCO2が152gに対し、バスでは50g、そしてLRTでは17gとなります。LRTは環境負荷の面でマイカーの9分の1、バスの3分の1で、自然と人に優しく、将来の環境負荷を最も低減できる移動手段なのです。


HOME  目次  前ページ  次ページ